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【ライブレポート】龍銘祭52 @川崎CLUB CITTA'

龍銘祭52
・2018年1月14日(日)
・川崎 CLUB CITTA'

記念撮影
ダイジェスト映像
by TEAM A'THARSH 

次代を担うであろう総勢 14 組を集めて盛大に開催されたフェス形式のライブイベントの模様をお届けする。

1. Geist of Trinity (帯広)
北の衝撃、再び!である。昨年五月の nonLinear Metal DynamiX EXTRA Vol.4 で、同じ北海道の Leopardeath が衝撃的なまでにハイレベルなステージを行ったのに続き、帯広をからの刺客 Geist of Trinity がしょっぱなから快演をやってくれた。
ステージには帯広在住の Akito (Vo./G.) と札幌の Leopardeath でも活躍する Arata (B.)に、同じく Leopardeath のサポートも行っている WILD HAYATO (Dr.) をサポートに迎え、同期音源でもう一本ギターというプロジェクトバンド形式での出演。
プロジェクトバンドというと、ライブでの演奏が甘くなりそうな印象があるが、彼らにその先入観は当てはまらなかった。サウンドはブルータルかつテクニカル!正統派の漢のメロデスをド頭からぶちかましてくれた。
考えてみると北海道のエクストリームシーンというのは、チルボドスタイルの GYZE、女性ボーカルの Leopardeath、そして正統派の Geist of Trinity と、数は少ないながらもその地域レベルは日本有数と言っていいほどに高い。東京のバンドもうかうかしていられない。
 

2. ViruScarlet
制作期間のためライブ活動を休止していた彼らが 1 年 4 ヶ月ぶりのステージ復帰。ビジュアル的にも目を引く 8 弦ギターのツイン編成は健在だ。前回活動休止前のライブを観て以来になるが、バンドとしてはむしろ締まった印象を受けた。特に Aira (Vo.) の成長が著しく、ステージもより見ごたえのあるものになった。
Djent シーンの影響を色濃く漂わせるフレーズと複雑な楽曲でありながら、ボーカルがクリーンのみというのは意外に思えるが、彼らの場合はこれが意外と素直に聴ける。それもボーカルの牽引力が以前より確実に増し、ステージのリードとなる立ち位置をきちんと確保したせいだろう。
8 弦ツインという特殊な楽器を用いてのステージなので、むしろその特殊性をより確実に再現するようなサウンドメイクの充実を図ることができれば、今後が楽しみになってくる。
特殊な形態のバンドだからこそ、彼らにはライブでも地力があるバンドであることを証明し続けてもらいたい。
 
 
3. Hurly Burly
オープニングでの各パートが順番に音を重ねて行き、それと同時にフロアの参加を求める導入の仕方が目を引いた。サウンドとしては、オーソドックスな 8 ビート中心の歌モノのガールズロック、J-ROCK だが、基本を踏まえたそのステージはレベルの高いものだった。
リードボーカルの yūmi を中心に、ステージング、存在感ともにバランスが取れている。楽曲も各パートの特性が出るような仕掛けがほどこされて、自然と満遍なく全員に目が行くようになっている。楽曲にしてもサウンドにしても実にオーソドックスで、個人の派手なプレイはないながら、バンド全体としては、キメでの爆発力、サビでの爽快感が良く出ていた。
こういう堅実なプレイのバンドはブレが少ない。各パートがやるべきことをきちんとこなして王道に収束させ、そしてそれをフロアに供給できている。この足腰の強さは特筆しておかねばなるまい。
このライブの時点ではライブ活動の休止ということだったが、3 月末に今年の 8 月をもって無期限活動休止する旨が告知された。この日のライブが良かっただけに、残念だ。とは言え、音楽的にもステージングでもしっかりとしたバンドサウンドを奏でることができていた彼女らなので、このまま周りが放っておくということもないだろう。夏以降の新展開での更なる飛躍を祈りたい。
 

4. ALICETOPIA
ダークゴシックなボーカルに、ロックスタイルのギターとベース、そしてライブサポートのドラムという 4 人でのステージ。Minami Maria (Vo.) の出で立ちはゴシックだが、楽曲は意外にもギターオリエンテッドなかなり正統派なシンフォニック系メロディックメタルだ。時折ラウドロックのテイストを加味しつつもスタンダードなメタルサウンドに独特の声質の女声が乗る。モダンな陰陽座またはモダンな浜田麻里という印象。
ステージ中央のボーカルの外見は作りこんでいるが、サウンド、ステージングは案外生っぽい。バンド自体の演奏レベルは十分なクオリティなので、彼らを初見のフロアにアピールする工夫があるとなお良く、工夫次第でいくらでも化けられるバンドのではないかと思われた。
 

5. Shiver of Frontier
昨年 11 月発売のミニアルバム “Crystal In My Heart” のセールスも好調な Shiver of
Frontier が満を持して CLUB CITTA’ に登場!
オーソドックスなツインギターの 5 人編成かと思いきや、ベースが 7 弦!この時点で既に音数多めの快速メロスピの匂いがプンプンするが、果たしてその実態は前評判に劣らぬ美メロの嵐であった。
特にと言うべきかやはりと言うべきか、ツインリードでのメロウな旋律とハイトーンのボーカルでのシンガロング必至のコーラスパートは、評判通りのクオリティであった。そのフロント陣と、駆動力となるドラムをテクニカルなベースが繋ぐ。全体としてはオーソドックスなメロスピ以外の何物でもないのが、「だがそれが良い」と感じさせるものがある。
一つ注文をつけるとすれば、ボーカルに関してハイトーンは人外の域に届かんとしているが、時折そのピッチが甘いところがあるので、そこさえ対処できればもはや言うことはない。
新興メロスピ有望株として、日本のメタラーの中でも最も数が多いであろうメロスピ愛好家の間にその名が知れ渡っていくことだろう。
 

6. TO MEGA THERION (茨城)
茨城はつくば発のメロディックエクストリーム「トゥ・メガ・セリオン」。全員がホラーテイストなマスクをかぶった姿で登場。演奏はベテランならではの流石の安定度かつ納得の切れ味。ギターのソリッドさではこの日随一と言えた。バンド全体のアグレッシブさも目と耳に快く、その爆走サウンドには茨城の At The Gates の称号を進呈したい。
高度にまとめられた緻密なフレーズを熟練のメンバーが紡ぎ出すサウンド、そして四六時中ドラム以外の全員が所狭しと動き回る剣呑なステージ。それらを不敵な存在感のボーカルがまとめあげた一種独特な世界は、見るものを引き込む力がある。
惜しむらくは、機材トラブルがいくつかあり、サウンドの圧がところどころ失われた点だろうか。ただそんなことをお構いなしにステージは進み、トラブルが解消したパートも何事もなかったかのように復帰してくるあたりは、やはりベテランの経験値のなせる業といったところだろう。
 

7. Pulse of Humanity
本格的な活動開始からまだ 1 年に満たないながらも尻上がりに調子を上げてきている彼ら。2018 年を迎え、バンドとしてのまとまりが出てきたようだ。
コケティッシュな声質のクリーンボーカル Yuu とスクリーム担当のケン・ザ・メタル☆を中心に、同期サウンドを多用し、バンドはラウドでヘヴィなサウンドで、ひたすらフロアを乗せまくるスタイルのようだ。フレンドリーさとアグレッションが同居し、ヘヴィでいながら、ハッピーなステージを展開した。この日は突然「千本桜」をドヘヴィにアレンジしてカバーしてみたりというような意外さも見せたりして、このバンドにはまだまだ隠し持っているものがあると思わせられる。
ステージからのサウンドはとにかく音数が多い。常に飽和状態だ。バンドの演奏は現時点でもクオリティは十分だが、人数の多い編成とツインボーカルという特性をより明確に活かしたステージング、フロアへの訴求のための改良の余地はまだまだありそうだ。ステージからのトランス気味のラウドサウンドのフロアへの供給を自在に操れるようになれば、ラウドロックの新しい地平線が見えてくるかもしれない。とにかく、彼らはまだイケる。
 

8. VELVET ECLIPSE
銀髪の妖艶な女性ボーカル kiyo がフロアの目を引きつける、ゴシックロック。同期を多用するサウンドで、独特の世界を構築した。
目指す方向性としては、日本のメタルと海外のゴシックを併せ持つあたりでなんとなく見えてはいるようなのだが、バンドとしてはまだまだ基礎的な部分の充実を図りたいところだ。kiyo の立ち姿、ステージングはともに堂々として存在感があるので、彼女を活かさない手はない。いずれにしろ、この大舞台での経験を踏まえ、今後の糧としてもらいたい。
 

9. ナデシコドール (札幌)
札幌発ながら都内でも既にワンマンライブをやるなど積極的な活動をこなしているガールズロックユニット。ユニット名通り和洋折衷の衣装をひるがえしながらの円滑なステージ運びは経験値のなせる業か、実に堂に入ったものだ。
きちんとロックバンドをリードできるユズハ (Vo.) と、シュアーなプレイのリエ (Gt.) の二人を中心に、ベースとドラムのサポートメンバーが支え、作り上げられたステージは非常に充実した内容だった。
華やかな曲は華やかに魅せ、しっとりしたバラードはしっとり聴かせる。メリハリのある内容で 25 分ながらも鮮烈な印象を残した。彼女らの「見せ方のわかってる度合」というのは、ロックバンドの諸兄も盗むべきところもあるように見受けられた。あくまで音楽の理解を深めるために「見せる」彼女らのステージは、初見でも好印象だし、より記憶に残るという意味でも、ライブを行う意味をより深いものにさせているように思われた。
 

10. ディアブルボア
普段はアイドルとして活動している「ハルカ」のソロプロジェクトが、このディアブルボアということだ。バンド形態でのライブが初だそうだが、最初のステージがハーフサイズとは言え Club Citta’ 川崎とは、貴重かつ劇的な経験になったのではないだろうか。
バックのバンドはサポートメンバーということで、演奏には問題ナシ。ローチューニングのラウドロックが間断なく繰り出される中に、不器用だがストイックなボーカルが意外なほどにヌケ良く乗ってフロアまで届いてきた。
バンド初ステージということもあってか、バックの音量に食い下がるボーカルの必死さが、良い意味でスリリングなテイストを加味していた。歌唱という意味では十分なクオリティの 25 分のステージだったので、スケールアップを重ねて行けば、ロックバンドのボーカリストとしても今後があるように思われた。アイドルシーンとロックシーンを自在に行き来するような展開も期待でき、今後の可能性を垣間見た気がした。
 

11. Grudge Against Personality
「人格に対する怨恨」のバンド名が示すように、メタルコア的なエクストリームサウンドだ。
スクリーム担当の NAO (Vo.) は Dir En Grey 的な剣呑な雰囲気を感じさせる吐き捨てるタイプのボーカルでステージを牽引した。
彼らの今回のステージでは、ただブルータルに音をまき散らすだけではなく、シャッフルビートの曲や、新加入の Lisa (Vo./B.) のクリーンボーカルを軸にした曲もあるなど、一筋縄ではいかない懐の広さも見せてくれた。
彼らの特徴として一つ挙げたいのは、コールアンドレスポンスの多さだ。エクストリームシーンのバンドには、それほど多くないフロアとの掛け合いを多用した点が印象的だった。エクストリーム自体好みの分かれるジャンルではあるが、曲を覚えてしまえば、ライブに参加したいオーディエンスは楽しめる余地が増えるだろう。総合的には、低くチューニングされた這いずるような楽器隊の音で貫かれたステージは、ある種の不思議な爽快感さえ感じさせた。今後、意外な飛躍を見せるかもしれない。
 

12. Cinq Element (鹿児島)
一時女性ボーカルのヘヴィサウンドシーンの牽引役的な立ち位置を占めた Cinq Elementだが、移籍、メンバー脱退を経ての活動再開を果たした。昨年には 2nd アルバム “Circlet”をリリースし、YouTube に MV を公開するなどしている。彼らのスタイルは、九州を拠点にするバンドでは随一の美貌のボーカル maju を先頭に押し立てたラウドロックサウンドで、この点は今も変わることがない。
この日も妖艶なボーカルの存在感とストロングスタイルな男性コーラスの対比、そして練り上げられた熟練のバンドサウンドでフロアにアピールした。このジャンルにしてはスウィートなボーカルの声質については好き嫌いのわかれるところかもしれないが、それが受け入れられる人にとっては、彼らは随一の存在となるだろう。
 

13. WHEEL OF DOOM
この日異彩を放っていたのが、彼らの出演だ。20 年に渡るキャリアの中で、今のラウドロックシーンを文字通りたたき上げで作り出してきた勢力の一つが彼らだと言っても過言ではない。そのフィールドは音楽だけに留まらず、アート、ファッションなど多岐に及ぶ。
その熟成されたサウンドは、もはや麻薬的な中毒性を持ち、声に引力があるとすら思わせるほどに、強く強くフロアを引きつける。繰り返されるヘヴィだがシンプルなフレーズが空間を埋め、その間を自在に浮遊するボーカルが景色を作り出していく。
四人の身体の内側から絞り出される激しくも美しい轟音の奔流は、ある種の心地よさとヒリヒリするようなスリルが同居している。そこに身をゆだねることの快感を覚えてしまえば、そこから抜け出すことは至難だ。
サウンドのクオリティ、ステージでの存在感ともに本日の出演者中群を抜いて素晴らしいステージだった。この奥深いサウンドをライブで聴けたことを幸福に思う。
 

14. ESTRELLA
大トリを飾るのは、スペイン語で「星」を意味するバンド名を冠し、自らを「メロディック・ハイスピード・メタル」と称する ESTRELLA だ。彼らの特徴はとにかく「速い」ことだ。
落とす曲などない。全曲全力疾走が彼らの身上だ。
昨年五月のnonLinear Metal DynamiX EXTRA Vol.4 での出演時と比べると、ボーカルの成長が強く感じられた。歌が前に出てくるようになり、それにともなって楽曲が締まって聴こえるようになった。良い意味で開き直った雰囲気が、ポジティブなステージングや MCにも繋がっており、全体的にも一段とステージ映えする存在になったように見受けられる。
それにともない、バンド全体でも「バンド感」とも言うべきステージ上での存在のまとまりが格段に向上している。
なお、2/15 に Laa-Laa <ラーラ> が正式ドラマーとして加入した旨が告知されている。ラインナップが整ったことで、バンド自体もさらに勢いを増すだろう。今後これまで以上に、ハイグレードかつハイスピードなメロディックメタルを聴かせてくれることを期待したい。

  Report by JUN (ex.XECSNOIN)

■プロフィール
【JUN】 ヘヴィメタルバンド XECSNOIN (ゼクスノイン) のベーシストとして 2001 年から音楽シーンに参入する。現在は Sirent Screem、MaKORN にて活動中。00 年代後半より SNS 上でで個人名義でコラム執筆を開始。2015 年から、物書きを本格的に始める。在独経験を基にした独自の観点で、音楽はもとより、比較文化論から政治経済に至るまで多岐にわたり論評を展開中。その独特のわかりやすさ重視の文体が好評を博している。趣味はモータースポーツ在宅観戦。 
 
※個人ブログ  ⇒ 『長文御免』