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【ライブレポート】LOUD exSTAGE - ULTIMATE Vol.2 in ReNY

・RYUMEI PROMOTIONS 主催100回記念
LOUD exSTAGE - ULTIMATE Vol.2
・2017年2月4日(土)
・新宿 ReNY

記念撮影
ダイジェスト映像
by TEAM A'THARSH
 

 
 
【PHOTOレポ】Webロックマガジン BEEAST

2010年3月7日、福岡の地でスタートしたRYUMEI PROMOTIONSの主催イベント。7年を経て達成された主催回数100回を記念し、新宿 ReNYにて、7組のアーティストが華を飾った。

1. リリックホリック歌劇団
トップバッターからいきなり異色な存在の登場だ。三人組ユニット形態のアイドルが、歌とダンスを武器に、ロックシーンに乗り込んできた格好だ。BABYMETAL や BAND-MAIDなどに見られるように、ロック / メタルとアイドルの融合というのは、近年珍しくなくなった。その流れがこの日、新宿 RENY にも波及したと見ることができる。
V 系 + メロディックメタルからエクストリーム系まで幅広いメタル要素を加味したものを、三人が一体となって歌い踊るという仕掛けだ。バックのサウンドに関しては、おっと思わせるようなキラーなリフもあるので、ロック / メタルファンにも訴求する要素が十分にあるだろう。
生バンドを後ろに従えてのライブもあるようなので、ロックファンとしては、次の機会にはバンド形態での、真に歌劇で過激なステージも見てみたい。

2. キサキエミ
リリックホリック歌劇団が醸し出した独特な会場の空気を、良い意味で野蛮に塗り替えたのが、MAD CUPSULE MARKETS’ のオープニング SE とともに登場したキサキエミだ。行く先々でロックの衝動にあふれた好演を展開し、着実に地歩を築いてきた彼女だが、今までで最も広いこの日のステージだった。
表面的には「いつも元気いっぱい」という印象を受ける彼女だが、そのステージをつぶさに見ていくと、曲によって実に多彩な表情を見せてくれることに気づく。伸びやかな歌声でオーディエンスを先導していく姿に、少し妖しさを見せる楽曲を混ぜることで、それぞれの印象が相互に引き立てられる。このあたりのステージ構成もとてもうまい。
そしてもう一つの見るべき点は、実に抽象的な言い方だが、空気の動かし方だ。ソロ名義のバンド形態だが、ソロシンガー + バックバンドという形ではなく、しっかりバンド然としたステージを展開していく。そこには、芯の通ったボーカリゼーションと、フロントウーマンとしてオーディエンスの視線の集中を受け止める度量がある。ロックバンドならではの躍動感が、目と耳に快い。
コケティッシュさとエネルギー、躍動感と清涼感が同居した 40 分のステージだったが、実に短いと感じられた。彼女の姿をまだ見たことがない人がいたら、今からでもファンになっておいて損はないぞ?(笑)

3. 矢島舞依
メロディックスピードメタルの若き歌姫として、昨今急激に頭角を現しきてているのが矢島舞依だ。もはやその存在感はただのソロシンガーの枠をとうにはみだし、新たなメタルディーバの誕生とさえ言って差し支えなかろうと思う。
2016 年 5 月の nonlinear Metal DynamiX EXTRA Vol.2(川崎 CLUB CITTA’ )ではオープニングアクトだった。そこでの演奏も出色であったが、それから 9 ヶ月を経た今、この視線に宿る光の密度はどうだ。当時、儚さと可憐さから湧き出す存在であった彼女が、今や深遠な美をたたえた強烈な存在へと進化して、ステージからフロアにいる我々の瞳の奥に語りかけてくる。
スピード感にあふれ、目まぐるしく展開する楽曲たちをストイックに歌い上げながら進行していくステージの中で、会場の空間が急速に彼女のもとに収斂してしてく。歌がないセクションでさえ、片腕でオーディエンスを操り、彼女のもとにひれ伏すことが正しいことなのだという確信を与えられる。その硬質な歌声はもちろん、表情、視線、指先、そしてひるがえる衣装の裾からもストーリーがあふれだし、フロアを席巻していくではないか。
終盤には楽曲演奏を止め、音楽に対する真摯な心情を吐露する MC を挟んだ。言葉を選びながらも淡々と語られた彼女の思いに宿る炎のような意思が、オーディエンスにも見えただろうか。常に波乱万丈、激動必至の音楽シーンの中で、2017 年も矢島舞依から目が離せない。

4. LAST MAY JAGUAR
以前、ステージを別会場で見た際には、yurica (Vo.) のスクリームをもっと多用した、どちらかと言うとメタルコア的な印象であったが、今回は KENTA (B.) がスクリームを主に担当し、yurica はクリーンボイスで勝負するステージだった。そのため、以前との印象がかなり変わって、比較的王道なロックバンドという印象を受けた。
この日のステージの特徴は、なんといっても楽曲の多彩さだった。多くのジャンルの要素を多彩に採り入れ、それらをしっかりと自分のものにして、きちんと芯を通していることが伝わって来た。それらは、タイトな演奏はもちろんのこと、充実したライブステージをできていたからこそ、数々の楽曲の多彩な表情が見えたのだ。
そしてフロントを牽引する yurica の、女性ならではの柔らかな力強さが込められた歌声は伸びやかで、ヘヴィなサウンド、ドラマティックな展開の楽曲と一体となって、フロアに満遍なく行きわたっていた。
今回でKensuke (Gt.) が脱退するということもあって、時折涙も見せながらのステージだったが、随所に見えた四人のメンバーの笑顔が印象的で、現体制での最後の華を彩るにふさわしい、彩り豊かなステージだった。今日で「第一章ラスト」が告げられたが、終演後スクリーンでの映像で、「第二章」の開始が 5 月であることがアナウンスされた。新たなギタリストを加えての「新章」にぜひ期待したい。

5. G∀LMET
続いて、濃度の高いオーディエンスのアツい声援に迎えられて登場したのが、大阪の G∀LMET だ。なにしろ、演奏が始まってもなお、オーディエンスの叫び声がフロア最後方にいた筆者の耳に聴こえた。このアツさは見ていて気持ちがいい。
さて、G∀LMET と言えば、今の世代の、バンド女子 + エクストリームの走りといった存在だが、キャッチフレーズが当初の「ガールズデスメタル!?」から現在の「絶叫系鋼鉄女子」に変わった現在では、その音楽性の振り幅は意外なほどに広い。デスメタル、メロデスをはじめとしたエクストリーム系のフレーズに始まって、トラッドなメタル、オルタナティブ、パンキッシュな要素を種々雑多に詰め込んで、硬軟織り交ぜた展開でなんだかんだと聴かせてしまう。なんとも一言ではくくり切れないサウンドが持ち味だ。
そのごった煮サウンドを一本筋を通してまとめあげているのが、みっき~ (Vo) のスクリームだ。とはいえ、彼女のこのバンドの一員であるので、曲が始まると剣呑ささえ漂うストロングスタイルのスクリームを響かせるが、MC では案外かわいらしいと言えるほどの普通の女の子の声で喋ったりする。このあたりの、なんとも言えない出し入れの妙が、アツきオーディエンスを引きつけてやまないのだろう。
残念ながら、メンバー脱退につき一時活動を休止するとアナウンスされている。しかし、このまさにワン・アンド・オンリーなサウンドとスタイルを愛してやまない各地のファンのためにも、新体制の早期の復帰が待たれるところである。

6. LAPiS LiGHT
LAPiS LiGHT のライブ特徴を簡単に言うなら、「とにかく詰め込む」これに尽きる。V 系、メタル、ラウド、J-ROCK、バイオリン、果ては芝居的な演出まで盛り込む。ステージ中に曲間はほとんどなし、あっても1 秒以下という、スピーディかつ濃厚な、他に類を見ない盛り沢山なステージが最大の特徴だろう。
これは、零 (Vo) によるものであり、この詰め込みぶりは、よほど考えを詰めていかないと、途端に破綻してしまうものだ。フロアを飽きさせない工夫を随所に仕掛けていかねばならず、なまなかのバンドでは、やろうと思ってもおいそれとできるものではない。この日も 40 分に 11 セクション 10 曲を詰め込む濃密なステージを展開した。
ステージに姿を現した彼らは、和装をベースとしたド派手な出で立ちだ。零 (Vo) は紫、他サポートメンバーは赤と黒を基調にした衣装で、見た目にも役割分担が明快だ。ステージングは、メタル・ラウド系と V 系の良いとこどりをした雰囲気だが、見た目だけでも零 (Vo) の視線、手と指の使い方、扇を使った演出、そしてシャープな LED 照明に映えるド派手な衣装と、個々に見ていくだけでも飽きることはない。
それに加えて、曲中にオーディエンスの参加を促す煽りであったり、聴かせるところはしっかり聴かせるパフォーマンスの対比であったりと、楽曲そのものでも見せて聴かせていく。
去年見たときよりも、エンターテイナーとして、ボーカリストとしての零の大幅な成長が見て取れたひと時だった。
ひとつ欲を言うならば、この息つく暇も与えないゴージャスなステージを、パーマネントなバンドをも上回るシャープ & タイトなバンドサウンドで展開できたら、もはや凡百の論評など全く必要なくなるほどの総合舞台演出の高みへと登れるだろう、とそんな気がした。

7. ASURA
すでに幾度も彼らのステージを見てきている筆者だが、身内びいきなどではなく、断言したい。この日の彼らのステージは「サイコー」であったと。
映像を絡めた演出からのオープニング、一瞬で空気をつかむ AKINA (Vo) のボーカル、会場とマッチしたバンドのサウンド、SAYAKA と MIZUKI によるダンスを駆使した演出、そしてそれらの有機的なコンビネーション。挙げていけばきりがないが、全ての点において、去年よりスケールアップした印象だ。「大きな会場が似合う」とは、よく言われる言葉かもしれないが、そのフレーズをこの日の彼らにこそ捧げたい。
この日の彼らのステージで最も印象的だったのは、フロアとのコミュニケーション感の増大だ。AKINA (Vo) の声が格段に伸びたというのもあるが、ダンサーチームの躍動感や、楽器隊の視線、そしてオーディエンスの熱気、こうしたものが混然となって、楽曲のセクションごとと言っても良いほどに、様々な表情を見せていた。そこには、会場全体の躍動感も生まれるし、ステージへの吸引力も、時間を追うごとに増していく。
フロアからあふれ出す充実した音の波に加え、高く放たれた音の塊が会場後方の壁で砕けて、フロアにいる我々の肩に、輝きながら降りかかってくる。その清涼感と幸福感に満ちた空間は、何のためらいもなく我々の体にしみこんでいく。久しぶりに「終わってほしくない」「それがダメなら、持ち曲全部やって欲しい」と思わされた 40 分だった。
終盤、見渡せば、オーディエンス、出演者、関係者を問わず、フロアにいた人の大半がなんらかのリアクションを見せていた。好き嫌いは置いておいて、見る人の立場やジャンルを越えて、ライブとしての本質的な楽しさを供給することに成功したのではないだろうか。これをできるようになったからには、今後が面白い。
本編終了後、4/28 渋谷 O-WEST でのワンマンライブと同日のミニアルバムのリリースと、Black-listed Records との契約が発表された。この勢いはなかなか止まるものではない。ファンならずとも、2017 年の ASURA には要注目!である。

  Report by JUN (ex.XECSNOIN)

■プロフィール
【JUN】 ヘヴィメタルバンド XECSNOIN (ゼクスノイン) のベーシストとして 2001 年から音楽シーンに参入する。現在は Sirent Screem、MaKORN にて活動中。00 年代後半より SNS 上でで個人名義でコラム執筆を開始。2015 年から、物書きを本格的に始める。在独経験を基にした独自の観点で、音楽はもとより、比較文化論から政治経済に至るまで多岐にわたり論評を展開中。その独特のわかりやすさ重視の文体が好評を博している。趣味はモータースポーツ在宅観戦。 
 
※個人ブログ  ⇒ 『長文御免』