|| LIVE REPORT ||
【ライブレポート】 JEKYLL★RONOVE


・JEKYLL★RONOVE 1st Album Release One Man Party 『E=mc2 World Tour In Japan』
・2016 年 4 月 26 日
・新宿 WILD SIDE TOKYO
ライブハウスというところは、玉石混交の縮図のようなところで、この間初めてギターを手にした中高生が勢い余ってガッシャガッシャ弾いてたりするかと思えば、ギター歴うん十年のベテランが艶やかなフレーズをこともなげに弾いていたりする、ある種の不思議空間であるのは、このサイトにお越しの方ならご承知かと思う。
近年のライブハウスシーンが以前と異なるのは、そういうアマチュアや、これから自身の音楽を世に問うていこうというインディーズだけでなく、武道館経験者や元メジャーでやってた人が何気なく出るようになったことだ。ことに、対バン形式のイベントでそういうレベルの違う人達と組まされると、新進のバンドは太刀打ちのしようもなかったりするわけだが、叩き上げの気鋭のバンドの中にも、世が世なら渋谷公会堂あたりでないと見れなかったであろう、ライブハウスのキャパシティに対してはオーバースペックな技量を持つバンドというのがいる。その一つがこの JEKYLL★RONOVE (ジキル・ロノウェ) だ。
人間 (ジキル) と悪魔 (ロノウェ) の名を併せ持つこのロックバンドは、ボーカルの Jekyllを中心に結成。2015 年 3 月頃から活動を本格化させ、現在のラインナップは Jekyll (Vo./ ジキル)、N★OTO (G. / ナオト)、SEI (B. / セイ)、キャプテン★いえっち (Dr. / キャプテン・イエッチ) の 4 名だ。
音楽的なスタイルは、オーセンティックなアメリカンハードロックを素材に、Jekyll の張りのあるボーカルが光ったかと思えば、ギターの小気味良いリフとツボを押さえたベースとドラムが絡み合うセクションに切り替わったりと、いわゆる歌モノとしてだけでなく、ロック好きなら色々な面から楽しめる趣向を凝らした楽曲が特徴だ。
楽曲は、シンプル & スタンダードな構成でありながら、フックが効いた飽きさせない作りとなっていて、彼らの持つセンスと技量のほどがうかがえる。グラマラスな Jekyll とレザーやシルバーアクセサリーをフィーチャーしたメンバー 4 人のロッカー然とした風貌から、一見「酒と女 (男) とロックンロール!」みたいな印象を持つ人もいるかもしれないが、彼らの音楽を一聴すれば、彼らの存在は、その手の「演奏は…まあそこそこ」なロッカー気取りのハンパなバンドとは、一線を画すレベルにあることがわかるはずだ。
今日のワンマンライブにおいても、全 15 曲、約 2 時間のステージを見た人ならば、彼らのサウンドが、これしかできないから仕方なくのフレーズではなく、数ある選択肢の中からのあえての選択の結果としてのこのフレーズ、という意味がおわかりいただけるのではないかと思う。よくあるフレーズのようでありながら、この取り合わせはある種のセンスがないとここに来ないとか、聴いたことあるっぽいサウンドだけど、この鳴りはあるレベル以上のテクニックがないと出ないだろう、ということをさり気なくやってしまうあたりが、JEKYLL★RONOVE の真骨頂と言えるかもしれない。楽曲に対して十分 (過ぎるほど) なスキルのバンドが丁寧かつパワフルに鳴らす楽曲に身を浸すことができるのは、音楽好きにとっては幸せなことである。
バンド史上初のワンマンライブと言えば、あれもこれもと色々やりたくなったり、多種の演出を試みたくなりそうなものだが、彼らの場合はそんなことはしない(笑)。時折 MC を挟みながらも淡々と楽曲をフロアに響かせていくそのスタイルは、楽曲のクオリティによほど自信がないとできないことだ。実際フロアを大して煽りもしないステージングで、オーディエンスを 2 時間立ちっぱなしで聴かせ続けられる楽曲と演奏のクオリティは、やはり出色のものと言えるだろう。個人的にはバラード “You’re the ONE” が心に沁みた。
この日から彼らのファーストアルバム「E=mc2」が発売されたわけだが、今日のセットリストは当然ながらこのアルバムに収録されているものが大半を占める。CD の中身は、自主製作でこのクオリティは!と言いたくなるような良曲の数々で、ライブ会場でしか買えないとは何事だ!いいから早くレーベルを見つけて来なさいよ!とメンバーに小言の一つも言いたくなるほどである。キャッチーなメロディとキレの良いギターワーク、そしてシンプルだが練り上げられたバンドサウンドがセクションごとに交錯し、耳の肥えたロックファンの視聴にも十分耐えるだろうし、一方で、なんというか、「とっつきやすさ」みたいなものがあり、これからバンドでも始めようかと言うギターキッズもギターフレーズをコピーしたくなるような間口の広さがあるようにも聴こえる。このあたりは後日音源レビューにて詳述しようと思う。
音源は音源で素晴らしいのだが、彼らの真の魅力はやはりライブだろう。アルバム収録の楽曲を家庭では不可能な大音量で浴び、絡み合うアンサンブルの美しさに包まれるこの幸福感は、やはりライブ会場でないと味わえない。そういう意味でも、ぜひとも、JEKYLL★RONOVE のライブ会場に足を運んでいただきたいものである。
■会場の WILD SIDE TOKYO 高長社長にインタビュー!
J「JEKYLL★RONOVE の良い所ってなんですか?」
高「ありません!」
J「え?(笑)」
高「いやほんとに」
J「いやいや(笑) 真面目に答えてください」
高「え、これ真面目なインタビュー?」
J「そうですよ(笑)」
高「そうだな…。あいつらは、人前ではちゃらんぽらんに見せてるんですけど、ああ見えて実は意外と真面目ですね。」
J「おーなるほど」
高「実は音楽と真面目に向き合ってるんですよ」
J「ふむふむ」
高「腹立ちますよね」
J「なんでですか(笑)」
高「いやなんていうかね、今日の打ち合わせととかももっとこう…ね、あるでしょ?」
J「カーット!」
高「なんで切るんですか!?」
J「ほめてくださいよ。せっかくワンマンなんだし」
高「そんなことできませんよ」
J「だから(笑)」
以上、現場からほぼ原文ママの文字起こしでお送りしました。
■機材
|| COLUMN ||
【第1回】ジャンルの定義
【第2回】音に含まれるものはなにか
【第3回】再生媒体による世代格差
【第4回】白目の使い方
|| REVIEW ||
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|| LIVE REPORT ||
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