ロック/メタル系WEBマガジン
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|| COLUMN ||

【第1回】ジャンルの定義

SNS で色々書き散らかしていたところ、ついにコラムの依頼がくるようになりまして(笑)。
 
先日ふと「メタル寄りのハードロックとパワーメタルの違いがわからん」とつぶやいたところ、Ryumei さんから、「その違いを定義してむしろコラムで書け!」というリクエストがあったので、それを元ネタにいくつか。
とはいえ、上記の二つの定義というのは曖昧で、ある意味非常に難しいので、大枠での話をば。
 
そもそもジャンル分けというのは、古今東西色々論議があるわけで、細かくなるほどに先鋭化し、しかしながら最終的には「それほど重要ではない」という結論に至るのが関の山でございます。
どういうことかというと、まず、やってる方がそれほど意識してない。

音楽のアプローチと言うのは、セオリーや方法論というものがあるにせよ、原則的には無限なわけですよ。
つまり、とあるバンドの一枚のアルバムの中でも、ハードロック的なアプローチの曲があったり、若干エクストリーム的な曲があったり、ドポップな曲があったり、はたまた見た目がビジュアル系っぽかったりと、じゃあそのバンドがどのジャンルかと言えば、「まあ全体的にメタルじゃないかな?」くらいなわけで、しかもそれは聴いてる側、あるいは売る側の定義であって、本人たちはひょっとしたら「やりたいことをやっただけ」とか「ただのロックバンド」と思ってたりする、ということがありうるわけです。

例えば昨今隆盛の感ある「嬢メタル」ですが、元々 Aldious をはじめとする「いわゆる『アゲ嬢』的な格好のギャルバン」が発祥で、今現在の一応の定義としては、「メンバーの多く (あるいは全員) が女性のメタルバンド」、広義では「ボーカルが女性のメタルバンド」とされていますが、単純に音楽の種類で言うと、トラッドな (Iron Maiden, Judas Priest 的な) メタルからエクストリーム方面まであって、つまり「嬢メタル」というジャンルは音楽のジャンルというよりは、バンドの体制によって定義されるジャンルであると言え、そういう意味では「ヴィジュアル系」的な言葉と言えます。
 
その「ヴィジュアル系」ですが、今や "V-kei"、”Visual-kei” として海外でも通じるようになってきたわけですが、これは初めから音楽性が問われることはなく、ポップロックからエクストリームまで音楽的には何でもあり、メンバーが派手なメイクや衣装を装備してさえいれば、そのカテゴリに入ってしまうという恐ろしい言葉です。
見かたによっては「ヴィジュアル系」のサブジャンルが「嬢メタル」と言えるかもしれません。
極端なことを言えば、歌舞伎や京劇だってヴィジュアル系に入れることもできるわけで、ただこの両者には伝統芸能であるという要素がはるか大きいので、そう呼ばれることを防いでいるに過ぎないのかもしれません。
 
一方、売る方に取ってのジャンル、というかジャンル分けというのは、たいていレコード会社だったり雑誌だったりが付与するもので、CD のオビやら iTunes のジャンル欄に「ロック」とか「ポップ」と書いたり、このアーティストはこのコーナーで推して!とレコード会社が営業してたりするわけです。
 
例えば CD 屋で商品を陳列した際に、いくら ABC 順だからと言って、ジャズの CD の隣にデスコアがあって、その隣がワールドミュージックで、その隣がアイドルでということになると、お店の雰囲気が出しづらいし、お客さんも買いづらい。よってエリアわけのためにある程度のジャンル区分が必要になってくる。
 
雑誌はそれぞれに毛色があるので、雑誌 A に掲載された時点でこのバンドは○○っぽいんだなと読者わかるわけですが、そもそもそこで記事を制作する段階で編集者による選別が行われていて、ロキノン系のアーティストが BURRN! に載ることは、絶対にないとは言いませんが、まあごく稀でしょうね。
 
一方楽器系の雑誌ではジャンルは問題ではなく、優れた演奏をしている人を取り上げるので、一冊のベースマガジンにジャズフュージョン系からメタルの人まで横断的に掲載されます。
 
最後に、聴く側にとってのジャンルですが、
一応の参考にはなるけれど、例えば CD のオビに「○○メタル」と書いてあったとしても、それが必ずその人の「○○メタル」と合致するとは言えず、だからこそ制作側も「HR/HM」と大枠で書くのは、つまりそういうわけなんですね。
 
余談ですが、昔 DISK UNION ですごくメロスピ臭の漂うアートワークのアルバムをジャケ買いしたところ、思いっきりハードロックだったということがありました(笑)
 
一時期インターネット勃興期に某掲示板上で、誰それは○○メタルかどうか的な論議が華やかなりし頃があったように思いますが、仮に誰かが強力な主張をして、「××は○○メタル!」と一応の合意があったとしても、そこに関与していない人に「××は○○メタルだよな?」と聞いてみると、「そうかなあ?」とか「それは違うんじゃない」などと反論されるというのは容易に想像しうるわけです。
ところで、先日 LOUDPARK 15 にてワタクシの耳を殴打しまくってくれた Megadeth ですが、一時期は「インテレクチュアル・スラッシュメタル」と自ら吹聴していましたが、今のMegadeth がスラッシュかと言えば、もちろんスラッシュ的要素がなくなったわけではないでしょうが、全体的な意味においては、多くの人が疑問を持つのではないでしょうか?
「スラッシュ四天王」「The Big 4」の冠自体はいまだ健在ではありますが、スラッシュというよりトータルな意味でも「メタル」に変化して行った感が個人的にはありますね。ちなみに LOUDPARK 15 でのライブは素晴らしくて、しばらく聴いていなかったのですが、また聴こうかなと思いました(笑)
 
というわけで、ジャンルと言うのは、やる側、売る側、聴く側それぞれにとって意味が異なることがあり、おおよそのガイドにはなるけれども、絶対的な定義ではない、ということで・・
 
今回は以上!

■プロフィール
【JUN】 ヘヴィメタルバンド XECSNOIN (ゼクスノイン) のベーシストとして 2001 年から音楽シーンに参入する。現在は Sirent Screem、MaKORN にて活動中。00 年代後半より SNS 上でで個人名義でコラム執筆を開始。2015 年から、物書きを本格的に始める。在独経験を基にした独自の観点で、音楽はもとより、比較文化論から政治経済に至るまで多岐にわたり論評を展開中。その独特のわかりやすさ重視の文体が好評を博している。趣味はモータースポーツ在宅観戦。 
 
※個人ブログ  ⇒ 『長文御免』